私の会社員時代は、ほぼ人財育成に徹していたといっても過言ではないくらい、私自身は人財育成が得意であり、好きでした。
独立して株式会社ヒトスパイスを設立して早くも12年。
現在は、人財育成コーチとして管理職、チームリーダーの皆さんと共に、部下育成を支援する仕事をしています。
この仕事を通して企業のリーダーの皆様から言われることは、
「私には人財育成は向いていない。むしろ苦手。」という言葉。
だからそのまま育成をアウトソースしたいと言われることも。
人財育成は、上司と部下の信頼関係構築にも繋がります。
組織の基盤強化にも繋がるわけです。従って、完全アウトソースでは、別の問題が発生すると私は考えていて、あくまで3カ月~1年程度、リーダーさんがたった1つの育成に外せないポイントを抑えられるまで、二人三脚する仕事に重点を置いています。
育成に苦手意識のあるリーダーさんに向けて、たった1つの抑えて欲しいポイントについて書いてみようと思います。
自分の部下に仕事を教えたとき、あまりにも部下が教えたことを何度も間違えたり、同じことを訊いてきたら、腹が立ちますね。
心の中では、(なんで何回も同じことを言わせるんだ!)と思うはずです。今はこのような強いメッセージを出すと、ハラスメントと言われてしまう時代なので、ぐっと我慢しているリーダーも多いはず。
育成が苦手なリーダーは、こういう状況が続くと、
「もう、何度いってもアイツはやる気がないから無理だ」
このように思い、それ以上何も言わなくなるというケースが多く見受けられます。
ここで諦めていては、誰一人育ちません。勿体ないことです。
育成好きの私みたいなタイプは、ここで私の出番がやってきた!と思うのですが、仕事の覚えが悪い部下には、こういうアプローチを行います。
「今自分が何を理解していて、何を理解できていないと思うか、
紙に書いて説明してみてくれる?」とリクエストを出す。
こうやって、理解の度合いを自分で可視化させることを繰り返し、説明が不十分なら、何度でも説明させます。この可視化シートを見ながら、ゴール(目指す場所や完成型の姿)を確認し、足りない事が何かを自分で考えさせるのです。
そして、どうやって、ゴールまでもっていくかそのステップを一緒に作って行動を積み上げていきます。
育成が苦手なリーダーは、この可視化させるプロセスを一切やっていませんし、その前にリーダー自身から育成を諦めてしまうケースが非常に多い。
中々成長しない部下は、情報の整理スピード、自分自身の頭の中を整理する力が弱いので、そこをサポートすれば、自分で自分の状況をうまく説明できるようになります。
その結果、報告・連絡・相談のタイミングやスピード、その質がいっきに高まる相乗効果もあります。
上司としては自分の担当する組織がうまく機能する条件として、報連相をはじめとするコミュニケーション連携が上手くとれることは、とても楽に成果をあげられ、リーダー自身のチームマネジメントもとても楽に進めることができます。
人財育成は、「積み上げの法則」を徹底的に意識しておかなければ、すぐに諦める「諦めグセ」の負のスパイラルにハマってしまいます。
相手は自分の鏡という言葉がありますが、上司の諦めグセは部下にも伝播してしまうものだと心得ておきましょう。
育成が苦手なリーダーは、育成を諦めてしまった部下とのコミュニケーション頻度が少なくなってしまうこともあり、益々部下の仕事の進捗管理が出来なくなります。
まずは、紙に書かせる「理解の可視化」是非試してみてください。